校外実習授業

東京賢治シュタイナー学校では、9年生から始まる高等部において、実習授業を取り入れています。

育ちゆく若者たちが、ある一定の期間、実社会の中で集中して働きます。シュタイナー教育は、高等部においての社会の中で働く体験が、生徒たちの実践的能力の開花につながるという人間観を持っているからです。
それはまさにシュタイナー学校は「温室」だという先入観を覆し、逆にこの教育が日本社会の中でしっかりと生きていける人間形成に基づくことを証明していると言えるでしょう。

◇9年生(中学3年生) 農業実習 「大地と人間のつながり」

9年生では、人間が生きるためのまさに基本中の基本である「農業」というテーマに取り組みます。

それは「生きる意味」について考えている彼らの心の問いに答える実習であり、大地と結びつくことによって自分の理念をしっかり大地に下ろしてくる実習と言えるでしょう。

実際に生徒たちはさまざまな農家で3週間、濃密に自分の労力の限界まで働きます。そこでは人間と本来根本的に結びついている大地、植物、動物と密接に関わる中で、現代社会に生きる人間としてどうあるべきかという根本的問いとも向かい合います。

東京賢治シュタイナー学校では、宮崎県の綾町にある「綾賢治の学校自然農実践場」で寝泊りをしながら、同じく綾町で自然の理念に基づいた農業を営んでいる農家で実践を行っています。

◇10年生(高校1年生) 測量実習「理論と実践とのつながり」

10年生では数学で三角法を学びます。この実習ではこの学びが土地を測量する際、実践的に用いられることを体験します。

生徒たちは、実際の現場では理論はわかっていてもさまざまな場面で困難な課題を持ち、クラスで協力して取り組まなければ図面を作るまでにいたりません。理論実践をテーマにした測量実践は、この年齢の成長に合った実習です。さまざまな困難を克服しながら、しっかりと自分の思考を行動に置き換えられる人間を育てていきます。

実際、今までの実習で生徒たちは、さまざまな問題を乗り越え、しっかりとした測量図を作成していきました。理論だけでは得られない実践的思考を学ぶことによって、より確かな能力が生徒の中から引き出されていきます。

◇10年生(高校1年生) 職業実習 「社会の中の手足となって働く」

実際の社会の中に一定の期間濃密に関わることにより、体験を通して社会の動き理解するだけでなく、“本来人間はお金のために働くのではなく、自分の持っている能力を他の人のために役立たせるのだ”という根本的な人生の意味を体験します。

個々の生徒たちは、自分の選んだ各企業団体等に一人で入っていき、濃密な経験を積んでいきます。そこで彼らは、社会の中に存在する矛盾や問題にも向き合います。さらに仕事を通してさまざまな大人たちの生き様を見て、その中でも理想を持って働く人々からもたくさんのことを学んでいきます。

この集中した期間を通して、生徒たちは社会の中でしっかり立てる人間へと成長していくのです。

◇11年生(高校2年生) 社会福祉実習

社会福祉実習では、他の人の助けを必要としている人々と共に生活する中で、生徒たちの中に新たな意識が生まれてきます。

それは今まで彼らが直接関わることがなかった人々との深いつながりを通して、どれだけ彼らからたくさんのことを学べるのかに生徒たちは気づいていきます。

予想もしなかった状態の中で、瞬時に自分で判断し、対応していく能力や新しいコミュニケーションのやり方を学んでいく中で、本当の人間性を学び、実習を終えた生徒たちは人間的にもひと回り大きくなって学校に帰ってきます。

◇12年生(高校3年生) 自然観察実習 「人間としての自然をとらえる力」

12年生では今まで学んできた生物、地学、地理をすべて応用しある一定の期間、野外で自然界の植生を集中的に観察します。

気温や降水量だけでなく様々な観点を取り入れながら、なぜ同じ植物が場所によっては姿形が変化するのかを考え、クラスで討論し実践的な生物学の力を身に着け、世界中の自然界の法則につながる大きな手掛かりを築き上げていきます。

今までの実習場所:北海道知床、北海道羊蹄山、伊豆の大島など

◇12年生(高校3年生) ヨーロッパ美術旅行とオイリュトミー公演ツアー

12年生ではオイリュトミー公演をドイツのベルリンとハスフルトそしてニュルンベルクで公演します。

これらの学校は東京賢治シュタイナー学校の姉妹校であり、生徒はそれぞれの学校にホームステイをします。その中で交流し学校全体とも関係を持った後、ドイツのミュンヘンを皮切りにイタリアのボーツェン、ベニス、フィレンツェ、ローマ、パリへの美術研修の旅に出ます!

様々な国の違いや文化の違い街並みの違いに驚きながら、美術の深まりと異国の情緒に包まれて、生徒たちの中に芸術的想像力の芽が育まれていきます。