シュタイナー教育とは

◇シュタイナー教育の特徴

シュタイナー教育とは、思想家であり哲学者でもあるオーストリア出身のルドルフ・シュタイナー(1861~1925年)の人間観に基づいた教育実践の総称です。

シュタイナーは哲学博士でありながら、教育、芸術、医学、農業、建築などの多方面に精通し、各界に影響を与えました。

1919年、ドイツで最初のシュタイナー学校である「ヴァルドルフ学校」が誕生しました。この学校が革新的だったのは、「人間形成」を目標に建てられたことです。その精神は世界中で引き継がれ、現在では世界60カ国に1039校のシュタイナー教育を実践する学校やフリースクールがあります。日本国内では学校法人となった2校を含む、8校の全日制学校が開校しています。

シュタイナーは教育理念をこう言っています。

「子どもの魂の中にあれこれいろいろなものを注ぎ込んではなりません。そうではなくて子どもの精神の前に畏敬の念を持つのです。この精神は自分自身で成長していきます。私たちの責任は子どもたちの成長を妨げる障害物を取り除き、その精神が自分自身で成長するきっかけをつくってあげることなのです」

シュタイナー教育は一人ひとりの個性を尊重し、個人の持つ能力を最大限に引き出す教育です。そのためには、その学年、その年齢にふさわしい授業カリキュラムを学び、知的能力だけでなく、手足を動かした芸術作業にも重点を置いて取り組んでいます。豊かな心を持ちながら、頭と手足を使って生き生きと活動する中で、自分の能力を発展させていける人間形成を行っています。

◇シュタイナー教育の基本にある人智学

シュタイナーは、教育という営みは、子どもが「自由な自己決定」を行うことができる人間になるための出産補助であるという意味で、「一つの芸術」「教育芸術」であると考えました。

その教育はシュタイナーが創設した独自の学問であり思想でもある「人智学」(じんちがく:アントロポゾフィー)がベースになっています。

人智学とは、人間は自然や宇宙との関係の中にあるという考えです。

人間は宇宙と自然界の集大成であり、同時に人間は大宇宙の中の小宇宙でもあるのです。教師はその観点から授業のカリキュラムを組み、生徒たちに教えています。

◇人間は7年周期で成長していく

東京賢治シュタイナー学校は、それぞれの子どもが持っているこの高い精神性が成長していけるための日々の教育に取り組んでいます。

それぞれの子どもが卒業したときに本当に自分自身の目標を見つけ、自分の能力を思う存分生かしていけるように、「自由への教育」を目指しているのです。
そしてその教育の根底にあるのが、人間の成長を包括的に見ていくシュタイナーの「人間学」という教育理念です。この「人間学」では頭と心と身体の成長がいっぺんに行われるのではなく、ふさわしいものがふさわしい時期に子どもの中で成長していくことに注目しています。

人間学では、人間の成長を7年周期で見ています。それぞれの7年間は、それぞれの成長の重点を持ち、変化していきます。

0歳から7歳までは身体を動かしながら「意志」の力を育み、7歳から14歳までは「心」や「感情」を、14歳から21歳までは「思考」の形成に重点をおいた教育が行われます。

■0歳~7歳 身体を動かしながら育む「意志」の力

0歳~7歳の時期は、遊びやいろいろな動きを通して身体が鍛えられ、自由でクリエイティブな創造性が育まれます。

ですから0~7歳児にとって遊びはとても大切であり、メインとも言える教育になります。同時に規則正しい生活を通しても身体はつくられていきます。身体の育成とクリエイティブな遊びが身体にみなぎるエネルギーをつくり、しっかりした行動への「意志」が養われていくのです。

小学部1年生までは0歳~7歳の時期にあたります。普通の学校では、小学校にあがるとすぐに授業が始まり、身体と心の成長が追いついていない場合がありますが、シュタイナー教育では1年生はならしの時期、ある意味では幼稚園時代の延長と考え、それに見合った教育をしていきます。この時期は子どもにとって現実世界というよりは、メルヘンの世界の方が大切です。ファンタジーの世界で、自分で想像した内側から湧き出るイメージを大切にするればするほど、子どもの内側の世界が豊かになってきます。それが後にやってくる思春期における内面形成・思考形成の土台になるのです。

■7歳~14歳 心と感情を形成する

7歳~14歳の時期は、自分でたくさんの豊かなイメージをつくって学ぶことで心が育成され、感情の土台ができあがります。

この時期に子どもたちは初めて、学びの世界に向かっていきます。この時期の学びは、幼少期のように身体を動かさなくてもよくなります。先生の言葉を聞いてイメージを抱くことで、その世界にすっと入っていくことができます。これは自分の中で映像をつくることができるようになっているからです。

■14歳~21歳 思考を形成する

14歳から21歳の時期は頭部の力、思考の力がはたらいていく時期です。

それまでは知識を得るだけだったのが、この時期から論理的に思考したり、自分の中から湧き出したイメージとイメージをつなげていったらどういう関係ができるか、という思考の土台ができるようになります。