3年の学び

テーマ

目覚めた意識で世界とつながっていく

学年の特徴

3年生は自分自身に目覚める年齢で、はっきりとした自意識が出てきます。同時に周りに対しても目覚め始めます。

1、2年生はまだ周りの世界と自分が一体です。そのため、先生の言うことをそのまま模倣して学んでいましたが、3年生になると、明らかに外の世界と自分自身が離れます。自分自身に目覚めるため、メルヘンの世界ではなく、実際の周りの世界に興味を持つようになります。家庭では父親や母親を批判するようにもなり、同じことが教師に対しても起こります。言わば、目覚めた証拠が反抗のかたちで出てくるのです。
この時期はとにかく現実の世界、自分の周りがどうなっているのかを知りたい年頃です。世界と離れているから不安に思うと同時に、つながりたいと思うのです。そのため、3年生の授業はすべての領域において現実世界での生活がテーマになります。

生活科では実際に大工仕事をしたり、米をつくったりと、実生活の実践的な内容になっていきます。職人の学びでは、豆腐やパンはどうつくられるかなど職人の手が生み出すものの素晴らしさも学んでいきます。このように、目覚めた意識で新しく周りとつながることが、この世界は楽しいという大きな信頼になっていきます。

現実世界とつながると子どもの心は満たされ、メルヘンの世界を卒業し、新しい意識が芽生えます。このことは後にやってくる思春期になっても、心を閉じずに開いた意識を持つために大切なことです。そのためにも積極的に日常の中で、さまざまなものをつくることが有効なのです。

学年ごとの教科

国語

3年生は「世界と自分の始まりをテーマとした物語」として旧約聖書の創世記を学んでいきます。これは、天地創造から人間が楽園から追放された苦労とともに地上で生活していく話に取り組んでいきます。メルヘンの世界ではなく、地上の現実世界での話をたくさん学びます。自分の体験を書くということも始まり、語句の区切り方、句読点による文章の配置など、文法も意識していくようになります。

算数

四則計算(筆算)やかけ算の習熟とともに、度量衡を学んでいきます。これは長さ、重さ、量など日常生活に欠かせない大切な学びです。尺、寸、歩など人間のからだをものさしとしていた昔の長さの単位から始めれば、計算に対する子どもの興味をより大きい物にしていきます。もちろんその後すぐに、現代使われている計量単位へと移り、算数を日常生活に結び付けていく取り組みをしていきます。また、時間や暦についても学んでいきます。このように、3年生になると算数がただの数から実生活につながったものへと変化していきます。 これらすべてのものと平行して、九九を常に繰り返し練習していきます。

生活科

身の回りの世界の生活に関するものに対して意識を持った子どもたちは、米づくりや家づくりを体験します。家づくりでは、土台を築き、柱を立て、壁をつくり、屋根をふくプロセスを学びます。職人のエポックでは、お豆腐屋さんや鍛冶屋さんなどの素晴らしい職人さんの手の技について学び、最後には見学に行きます。米づくりでは、種籾をまき、大地で育てる作業を通して、農業という世界に働きかけることを学ぶのです。今日の機械がやる作業を、一回自分の手を使って取り組むことができたら、子どもの中で一生を通して力強く生きていく力が育まれるでしょう。この授業では、ものづくりを最初から最後まで行い、さらに見学することで、現実世界とつながることができます。 そして後の、地理、物理、化学での取り組みに大きな力を与えます。

フォルメン線描

3年生での練習は非対称の対称です。花のように、中心から全体を描く点対称や非対称といった複雑なフォルムです。中心から三方向に広がる線を描く中で、先生が一方向を描いたら子どもは自分で残りの二方向を描いてみるなど、自ら補足する課題をもらいます。この取り組みは子どもの内面へと向かい、再び調和と心のバランスを育んでいくことができるのです。

水彩

創世記をはじめとする旧約聖書のお話を聞いた後、いろいろなやり方で描きます。子どもがお話の中で得た体験を、もう一度純粋に色彩の中で追体験するのです。特に光や闇の体験は水彩画を描くことで、より一層色の本質を体験する確かな基礎が培われていきます。

英語 ドイツ語 (外国語)

1,2年生で学んできた授業の内容に新しいバリエーションが加わります。それは、エポック授業で行われる米作りや家づくりそして農業の世界です。それらの題材を授業教材として取り上げて、短い対話や会話を発展させていきます。進んで外国語で会話するという雰囲気の中で子どもたちは間違うことにおびえずに、素直に外国語を話します。さらに単数、複数、動詞の変化など、様々な文法の領域も習い、練習していきます。

音楽

2年生までは旋律が主音に返ってこない曲が中心でしたが、旋律がきちんと主音に着地するダイアトニックという音楽に移行します。子どもの内面に合わせて、メロディもふわふわと浮かばず、きちんと着地するのです。また、初歩的に音楽を奏でる取り組みから、最初の楽譜への取り組みが始まります。また、歌のレパートリーを増やし打楽器、笛、歌、動きを通して音を体験していきます。楽器を使ったクラスでの取り組みは、より多様になっていきます。

オイリュトミー

メルヘンや動物の世界から離れ、より目覚めた意識でリズムやメロディーや音階などの音楽の基礎的動きを学びます。フォルムは複雑になり、渦巻、三角形、四角形などを空間の中で動き、確かな方向感覚を養っていきます。さらに手足を別々に動かすなど、集中の練習や身体の巧みさの練習は、濃密になっていきます。言葉のオイリュトミーでは職人さんが登場する「ハインツェルメンヒェン」(ドイツケルンに伝わる小人が職人さんを助けるお話)の小人たちの様子をオイリュトミーで愉快に動きます。

体育

3年生の体育では、子ども同士のつながりをより強める練習をしていきます。障害物をつかった体育は、この年齢の子どもたちが自分の周りにある問題、障害に取り組みそれと付き合い、自分の力で障害を乗り越えていける基盤を与えます。二つのベンチの間が川になり、平均台が谷底にかかるつり橋であったり、肋木が急斜面の岩肌であったり。遊びやゲームとしては、円から始まる遊びや色々なバリエーッションの鬼ごっこや「わに」のようなゲームを通して、子どもたちの柔軟性を体にも心にも呼び覚ましていきます。

手仕事

2年生から始めたかぎ針編みをさらに発展させます。自分の衣服を作る取り組みは、まず細編みでの帽子から始まります。頭を守る覆いとしての要素を際立たせるために、明るい色と暗い色の配列を編んでいきます。さまざまな色の配列を通して、子どもたちのファンタジーが花を開かせていきます。また、アイヌ民族の刺繍にも取り組んでいきます。

練習

エポック授業の内容を深め、定着させるためのもので、主に国語や算数の学習の中で文字や計算の練習など、反復練習の必要なものを集中的に行う時間です。しっかり練習することで、次にそのエポックが再び始まった時、基礎が身についた形で再び出発できるのです。3年生では特に自分で何回も繰り返し練習する力を身につけていきます。お散歩や誕生会、季節の行事なども練習の時間に行います。

学年ごとのイベント

四季の行事では、七夕、お月見、アイヌ民族の行事、クリスマス、正月のどんど焼き、豆まきなどを行います。さらに農業のエポックのつながりで田植えや収穫祭を行い、皆で自然に感謝をします。それらのお祝いの場では、歌を歌い、詩を唱え、音楽を奏で、自分たちの収穫した作物をクラス全員で調理し、皆でテーブルを囲みます。お米一粒でも、農家の方がこれだけ大切につくるのだという意識が子どもの中に生まれ、食べ物を大切にする土台が出来上がります。さらに、お豆腐屋さん、大工さん、パン屋さん、お百姓さんなどできるだけたくさんの職人さんを訪ね、見学する中でその作業と働く姿勢の素晴らしさを直に体験します。