6年の学び

テーマ

自分自身で思考し、知力を鍛えていく

学年の特徴

6年生は、12歳からプレ思春期に入っていきます。

感情の力が強まると共に、とても激しい形で反抗する時期でもあります。熱狂的に賛同したり、または思いっきり感情的に批判し反発し始めます。同時に知力が大きく発達します。それは自分の目覚めに対しての意識が始まるからです。だからこそ、この時期の生徒は自分で考えたい、自分で思考したいという思いが強くなります。「どうしてこうなるのだろう?」という結果から原因を求めたいと思う気持ちが生まれます。今までは先生からたくさんのお話を聞いてイメージしていましたが、今度は自分の中に湧いたイメージをつなげて、ある答えを見つけ出したいと切望するようになるのです。つなげること自体が思考であり、知的能力です。6年生はそのつなげる取り組みを、あらゆる教科の中でしていく学年です。ある現象を観察し、なぜそうなるのかを考察するという、自然科学的な取り組みが行われる教科も増えていきます。

学年ごとの教科

国語

知力の発達と目覚めた意識は、言語の中にも表れてきます。より意識して言語と取り組めるように「敬語」の授業が導入されます。尊敬語、丁寧語、謙譲語の学びは、言葉遣いが幾分ぶっきらぼうになるこの年齢においては、とても良い教育的効果がもたらされるでしょう。さらにそれに合わせての正確な手紙の書きかたである、商業的手紙文も学び、ここでもふさわしい用語を用いて、外の世界と客観的やり取りできる力をつけていきます。さらに、文法では現実と非現実を区別するために接続語の導入や副詞そして仮定法も学んでいきます。読み物においては、起承転結のあるドラマチックな「物語詩」(バラード)を読み始めます。

算数

百分率と利子計算を通して、商業、経済のテーマに生徒の意識を向けていきます。利己的ではない形で、この年齢の生徒の思考にこれらのテーマが入っていきます。 百分率計算を十分練習したら、商業の世界に出てくる「値上げ、値下げ、割引、値引き、税込み、手取り」などの内容に親しんでいきます。パーセントの価格、百分率を計算し、比例算を組み立てる作業も繰り返していきます。 Z、K、P(利子、資金、利率)に関して時間を使って計算を練習したとすれば、利子計算公式を使う計算への橋をかけたことになります。さらにここから、様々な文章問題に取り組みます。ここで大切なのは、6年生の生徒が、定められた具体的数を使った計算から抽象的な思考へと自分の考えを発展させていくことです。

幾何学

子どもたちは、定規、三角定規、コンパスを使って、できるだけ正確に図を描きます。中心的取り組みは、ひとつの円上に、6つの円を均等に描いていく円のバラと呼ばれている練習です。ひとつの円を、この円の半径と同じ距離で六分割します。この形は円から外に向かって、さまざまなバリエーションで拡大してゆけます。さらに、そこから正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形、不等辺四角形とさまざまな四角形を作図します。さらに生徒は作図した図形に色を塗り、美しい幾何学の図として完成させます。このエポックでは美的感覚を養うだけでなく、しっかりと思考して取り組んでいかなければいけません。それぞれの図形の特徴を正しく説明していく練習は、知覚と思考が共に生徒の中で活発に活動し、正確な思考を構築していく大きな基礎となります。

物理学

物理の授業を通して鋭く現象を観察し、実験を正確に説明することで明確に言葉にできる思考能力を養っていきます。最初の物理の授業では「音響学」を学びます。音と振動についての関係を知覚していく取り組みです。実験を行い詳しく観察することを通して、振動する物体の大きさや量と音の高さの関係がはっきりとわかってきます。音響学のクライマックスでは音のフォルムが見える、クラドニ図形の実験を行います。

光学では教室を暗室にして実験します。暗闇の中で明るさを調節し、人工的な日の出を再現し、自然界での色彩がどのようにして生まれるのかを学びます。そこからさらに鏡文字、万華鏡、潜望鏡、太陽の光の中での懐中電灯、金属の板を曲げて作る凸面鏡と凹面鏡、マジックミラー等内容へと移行していきます。さらに光の屈折を理解するプリズムの実験を行います。光学の最後に取り組むのは、カメラオプスキューラです。生徒はカメラオプスキューラを作ります。さらに熱学では実験を通して、どのように気体、液体、固体が熱によって異なって膨張していくかを日常生活の体験につなげていきます。さらに電気学では、摩擦電気(静電気)を取り扱います。

鉱物学

6年生では地域の地質学から鉱物学を始めます。最初に地理としての山脈から始め、岩石、石、そして鉱物へと移行します。そして結晶と石灰の違いに取り組み、深成岩と堆積岩の大きな違いを分かりやすく覚えていきます。花崗岩では 石英、雲母、長石の種類を学び、火山による岩石形成にも取り組みます。生徒は瑪瑙、ピュリット(黄鉄石)、コランダム(鋼玉:ルビー、サファイア)、電気石トルマリン、ダイヤモンド。天然石、宝石の世界の内容をとても楽しく学びます。

歴史(社会)

紀元前8世紀から紀元後15世紀までの約2100年に渡る範囲を包括します。ローマの歴史は共和国の設立から始まります。ローマ時代においてローマ人は自分たちの生活と行動の中に十二表法の制定(古代ローマの基本法典)を、統一する能力を持っていました。そして際立った公正さ、正当性への感覚を発展させました。6年生は自分でルールを決めて従う年齢でもあるため、このような話に敏感に反応するのです。さらにローマ人が建造した上水道の建設、辺境防壁、軍用道路、半円アーチ建造物を学び、今日においてもなお、数多くの水道橋、浴場、凱旋門が残っていることに驚嘆します。日本史では飛鳥時代から奈良時代、平安時代へと向かい、中国文化の導入と自国の建国過程のプロセスを知っていきます。

地理(社会)

地理では、しっかりと大地に足をつけていきます。同時に同じ地球上で生活している他の国の人に強い興味を示し、その気候、風土、産業に意識を持つことが子どもの社会的能力を養っていきます。

地球の主なる山脈がある場所、世界の大洋を観察し、さまざまな気候の領域、海流と潮の満ち干について話しをしていきます。さらに私たちが住んでいる大陸の地形を観察し北と南の地形の違い、東と西の違い、そして山脈の場所や名前、川の名前やその景観や形にも親しんでいきます。

さらに日本から離れ、アジアへと学びを広げていきます。さまざまなアジアの国の気候や地形、風景を通して、植物の成長、動物の世界、農業、工業、それぞれの民族の住む家、そこでの習慣、風習などたくさんの特徴を学んでいくことができます。これによってアジアがより身近に、自分とつながったものとして感じられるようになります。

天文学

場所や空間に対する意識を養うために、大地だけではなく、天体にも取り組んでいきます。太陽の軌道が赤道において、または北極圏において、または温帯においてどのように異なっていくのか、そしてそれを通して気候がどのように変化していくのかとても詳しく取り組んでいきます。そこから、太陽の軌道、月の軌道を学びます。最初に北極星について話し、赤道の星の動きと北極、南極の星の動きについて取り組みます。そのあと、春分の地点との関係から黄道十二宮について話します。 月と月の相についても観察し、満月から満月への時間と月が黄道十二宮を通っていく時間を比較していきます。そして月が潮の満ち干と関係していることと、日食と月食についても話します。最後に恒星と惑星の区別をし、惑星の名前も覚えていきます。地上から天体の動きを観測する例を取り上げ、そこから太陽を中心とした惑星の軌道(地動説)について取り組みます。

英語(外国語)

5年生から引き続き、文法を学んでいきます。知的に把握できる思考能力が子どもの中に目覚めたので、言語の法則を生徒に発見させ特別の作った文法用のノートに法則を記入します。そしてそのノートを新しい例を発見していくための道具として使っていきます。すでに取り扱っている、言語形態学の領域については、さらに定着させ、拡大させていきます。辞書の導入とともに、日常生活に必要な、旅行や、レストラン、買い物に出てくる、実践的な言語の応用を練習していき、手紙を書くこともしていきます。また、小さな英語劇の上演にも挑戦します。

音楽

授業のテーマの中にはじめて、戯曲、歌曲、いわばドラマ化された音楽が取り上げられ、生徒たちは多声合唱や、アンサンブルを練習していきます。そして長調の体験とはじめての短調の体験がなされます。楽器学と五度圏の学びが始まり、思考の力を使って、音楽の「理論」を理解し、しっかりと応用できるよう習得していきます。

オイリュトミー

全員が正面を向き、意識した歩行を練習します。これから始まる思春期に向かって、銅の棒を使った練習が始まります。上下左右前後の空間を把握し、関節を鍛え、姿勢を正すなど身体の育成の助けになる様々な課題に取り組みます。また、音楽オイリュトミーでは様々な調の音階を習得し、腕の角度を使って、音を形成していきます。その場合、シャープとフラットの音の形成の違いにも動きを通して取り組みます。このように音楽理論の内容を身体全体で体験していきます。

体育

この学年の体育の授業では、もうすでに知っているゲームに、すべてのミスに対して厳しい判定が出るようなルールを導入します。これはローマの法の歴史にぴったり合い、ローマ人的法的意識を6年生の生徒は持っているからです。むずかしい決まりのある様々な種類のドッジボールをするためには難しいたくさんのルールを守っていきます。さらにリズムやバランス感覚を養う運動や身体の調和を意識した運動を行います。

園芸

春の訪れから出発して一年の四季を体験できるように、学校内に畑が設置され、園芸の教師が常に畑の管理を行い、生徒たちは園芸の教師のところで学びます。花壇やコンポストの堆肥など、簡単な作業を通して学校の菜園に親しみます。植物の生長の段階を種まきから収穫まで体験することは、生徒が原因と結果、いわば因果関係について、体験しながら理解できる絶好のチャンスです。畑のノートを作り、畑の日記として一年の流れを書いていきます。6年生のテーマは、「耕作」と、「菜園、苗床の設置」です。そこでは軽く土を掘り起こす作業、(熊手などで)かきならす作業、などを行います。一年草の栽培、世話、苗の種まきと移植、鉢に植える、植え替える、雑草をとる、鍬で耕すなど、つまり植物自身が私たちに渡す課題すべてを生徒と行います。菜園に多様な植物があればあるほど、いろいろなことを生徒は学んでいくことができます。

絵画

物理と幾何学との関係において陰影を描きます。線描はデッサン用木炭を使い、球体がさまざまな面に影を落としていくのを観察しながら描いていきます。つねに相応しい空間の割り当てをし、影が観察できる見やすい影の形ができることを心がけていきます。水彩画では色を重ねながらぬっていく、「層技法」が始まります。乾いた画用紙を画板に置き、四辺をテープで止め、その画用紙の上に薄く色をぬり、乾いた色の上に次の色を重ねていきます。徐々に色が濃密になり、透明さや深さを保ち続けるすばらしい、高度な色彩が生まれます。しっかりとした絵画のための「規律ある取り組み」が欠かせなくなってきます。

手仕事

第6学年では、動物を作成します。まずは動物の絵を描き、そこから型を作り作成していきます。立体になるための個々の部分は、裁断して、組み合わせ、縫いあわせます。そして縫った生地を裏返し、その中に綿をつめていきます。平面的な絵から、空間的形が生まれる過程がこの動物作りの取り組みの本質的体験です。生徒は幾何学と影を描く練習の中においても、この体験を得ます。後半にはあやつり人形と新1年生のための手仕事袋も製作します。

木工

のこぎりをひく、切る、のみで削る、万力で押えるなどを、さまざまな道具を丁寧に正しく使って練習します。まずはバターナイフ、ペーパーナイフ、を作っていきます。手で持ちやすい形になるように意識して削っていきます。さらにより難しい、小さなくぼみを持つスプーンに挑戦します。口当たりの良さ、持ちやすさを工夫しながら、製材されていない素朴な木から、美しい実用的フォルムが生まれることを体験します。

練習

エポック授業の内容を深め、定着させるためのもので、主に国語や算数の学習の中で漢字や計算の練習など、反復練習の必要なものを集中的に行います。徐々に自己学習をできる力をつけるために、下校後の子どもの時間の使い方もサポートしていきます。宿題の取り組みもさらに意識して行い、よい学びの習慣から課題をやり終えるという、意志の力を育みます。

学年ごとのイベント

鉱物学や天文学など、自然科学の学びをより一層深めていくために、移動教室を行います。鉱物学では近辺の石灰からできた鍾乳洞や、遠方の花崗岩の景観のある山地に向かい、学んだ内容を実際そこなる鉱物を見ながら、確かめていきます。さらに自然界をより密度濃く体験できるために海山へ向かい数日間自分たちで自炊をし、掃除洗濯を共にしながら、尊い自然体験をします。現在は山口県の祝島で、島民の方々と交流しながら、合宿を行っています。