教師による教師の学び
シュタイナー教育論の根本にある理念に、「すべての教育は自己教育である」というものがあります。
私たち教師が、子どもたちのために何ができるのかを考えたとき、子どもの前にある障害物を取り除くことだけが、唯一のやるべきことです。障害物さえ取り除いたら、子どもはおのずと自己教育していけるようになれるからです。
そして、そのためには教師自身も常に自己教育していくことが大切だと私たちは考えています。教師が授業づくりのために学びを重ねていくことはこの学校の歴史でもあり、同時に土台にもなっていると言えます。
教員養成ゼミナール
現在、「東京賢治シュタイナー学校」で現場に立っている教師たちは、全員がシュタイナー学校の教師を養成する「教員養成ゼミナール」を受講しています。
教師がどれだけ豊かに世界のことを知っているかが重要なので、特にクラス担任は全領域において深く学ぶことが求められます。シュタイナー教育の人間観と教授法、方法論、そして授業カリキュラムは、知識の習得だけで終わりではありません。実際に生徒自身と学びの内容が生き生きとつながっていくように、たとえば花崗岩と石灰岩の違いを聞いてワクワクするというように、ただの知識ではなく、感情レベルでもその教科の面白さを知っていく必要があるのです。
もちろん、教師によっても得意不得意はあります。その場合、足りない部分を他の先生が助け、学び合いながら、授業の連携が綿密に行われています。専門分野の教科内容においても、ほぼ毎日、他の先生と振り返りを重ねています。そうやって次の世代の先生が育っていく土台ができていくのです。


外国人講師による研修
「教員養成ゼミナール」での全方位的な学びの他に、さらに年間10名来日するドイツ人講師のもとで研修を重ねていることも、当校の大きな特徴です。
《研修内容と講師一覧》
歴史 | アルブレヒト・ヒュッティッヒ | 自由ヴァルドルフ連盟代表理事 |
美術 | フーベルト・シュミットライトナー | ベルリン教員養成講師 |
地理・歴史 | マルコス・オーバーロイター | クックスハーフェンシュタイナー学校 |
物理 | ヨハネス・ナスト | ニュルティンゲンシュタイナー学校 |
地学 | ミヒャエル・ニース | ニュルンベルクシュタイナー学校 |
文学 | コーネリア・ヴィルト | ベルリン・メルキッシェスフィエテルシュタイナー学校 |
クラス担任 | ドーリス・シューラー | ニュルンベルクシュタイナー学校元教員養成代表 |
生物 | イーリス・ディドヴィスツス | ベルリン教員養成ゼミナール代表 |
化学 | イェンス・メッケルンブルク | ハンブルク・ベルクシュテットシュタイナー学校 |
上記の教師研修は週2回、行われています。また、日本人講師による年6回の集中講座も行われています。
そうして研修を重ねた先生方が、今度は次の世代の教師を研修する立場になっていくというように、教育の輪は絶えず続いていきます。
以上のような教師研修を通して、当校では子どもたちにより豊かな喜びを持った学びが展開されていくのです。常に学ぶ教師を通して、生徒たちの学びの喜びは、これからも一生続いていくでしょう。